葬儀を検索してすぐ出てくるサイトについて
スマホで一括見積もりを取ったら、聞いたことのない葬儀社から
電話がかかってきた。そんな話を聞いたことはないですか。
仕組みを知っておくと、見積もりの見え方が変わります。
そもそも「葬儀ポータルサイト」とは
「葬儀」で検索すると、広告でよく見かけるサービス名があります。「〇〇のお葬式」「やさしい〇〇」「よりそう〇〇」「安心〇〇」といった、聞こえのいい名前のものが多いです。あれは葬儀社そのものではないことが多いんです。複数の葬儀社をまとめて紹介する「ポータルサイト」と呼ばれる仕組みで、申し込んだ相手が実際に式を担当するとは限りません。
見分け方のひとつとして、名前の付け方があります。実際に式を執り行う葬儀社は、「〇〇葬儀社」「〇〇ホール」「(地名)〇〇葬祭」のように、葬儀という仕事や施設を名乗っていることがほとんどです。一方、紹介だけを行うサイトは、「〇〇のお葬式」のように、サービス名やブランド名としての名乗り方をしている傾向があります。絶対の基準ではありませんが、迷ったときの目安にはなると思います。
なぜこの仕組みになるのか
理由は「紹介手数料」にあります。相場としては売上の15〜30%ほどと言われることが多いですが、天翔にも過去に営業がきたことがあり、実際に提示された金額は25〜40%でした。数字だけ見ると幅がありますが、いずれにしても葬儀費用の4分の1から、多いときは半分近くが、施主様の元には届かず手数料として消えていく計算になります。
| 葬儀費用 | 手数料25%の場合 | 手数料40%の場合 |
|---|---|---|
| 50万円 | 12万5千円を手数料として紹介サイトに支払う | 20万円を手数料として紹介サイトに支払う |
式場のスタッフや棺、祭壇、車両を実際に用意する葬儀社の取り分は、その分だけ少なくなります。
提携専用式場という、もう一段深い話
最近は富田林市や河内長野市にも、こうしたポータルサイトと提携した専用式場ができました。「知らない葬儀社から電話が来る」だけの話では、もうなくなってきています。ポータルサイト側が式場ごと運営や提携に関わっているケースがあり、この形が一番、施主様にとって見えにくい構造だと思います。
仕組みを分けて考えると分かりやすいです。ポータルサイトの収入は、紹介した葬儀の売上に対する手数料です。式場で対応するスタッフの評価や収入も、多くの場合、成約した金額やオプションの数に連動します。
ポータルサイトの
収入
成約金額が大きいほど良い
現場スタッフの
評価・収入
つまり、ポータルサイト側にも、現場のスタッフ側にも、「できるだけ大きな金額で成約させたい」というインセンティブが同じ方向に働きます。
これは、担当者個人が不誠実だという話ではありません。仕組みそのものが、そういう方向に力がかかるように出来ている、ということです。悪気なく勧めたオプションが、結果として施主様に必要のないものだった、ということが起こりやすくなります。売上と自分の収入が連動する以上、この力学から完全に自由でいるのは、現場の人間にとっても簡単なことではないと思います。
お布施の紹介でも、似た構造があります
ある業者が僧侶に配っていた価格表には、施主が支払う総額の一律75%を手数料とする設定があったそうです。
| お布施の総額 | 手数料(75%) |
|---|---|
| 直葬:10万円 | 7万5千円 |
| 家族葬:30万円 | 22万5千円 |
派遣される僧侶の側からも、お布施12万円のうち7万円が業者への手数料になった、というケースが聞かれます。
割り振りの仕組みも、知っておいて損はありません。多くのポータルサイトは、利用者の住所やエリアで機械的に葬儀社を割り振ります。「この会社にお願いしたい」と指名することは、そもそもできない設計になっていることが多いんです。僧侶の紹介でも、担当者の都合で本来より遠方の方が優先された、という証言があります。
実際に寄せられている相談
国民生活センターにも、葬儀に関する相談は例年寄せられています。
「一日葬は約30万円」という広告を見て依頼したら、約80万円の契約になった。
「家族葬50万円」の表示を見て申し込んだのに見積書に明細がなく、追加費用が重なって総額200万円を超えた。
そうした相談が繰り返し報告されています。
美容室や飲食店の話と、実はよく似ています
同じような構造は、葬儀業界に限った話ではありません。美容室やネイルサロン向けの大手予約サイトでも、似たことが起きています。
🔹 クーポンや割引を出し続けないと、新規の予約が入りにくくなる
🔹 一度サイト経由で来店した客は、次回も同じサイトから予約しやすい
🔹 その都度、手数料が発生し続け、客との関係がサイト側に紐づいていく
「掲載をやめると新規が一気に止まってしまうので、やめるにやめられない」という声も聞かれます。手数料が経営を圧迫していると分かっていても、依存から抜け出せない。葬儀業界のポータルサイトとも、根っこの構造は同じだと思います。
飲食店の口コミサイトでも、似た疑念が持ち上がったことがあります。「評価が3.8以上でも、有料プランに入らなければ点数を下げられる」という投稿がSNSで話題になり、複数の飲食店から同様の声が上がりました。運営会社は取引による点数操作を否定していますが、実際に、ある飲食チェーンが「予告なく評価を下げるアルゴリズム変更で売り上げが落ちた」として運営会社を訴える裁判も起きています。最終的に評価の算出方法自体は「合理的」と認められましたが、この一件で飲食店側の不信感が完全に消えたわけではないようです。
評価やランキングを決める仕組みが利用者から見えない、いわゆる「ブラックボックス」の状態は、葬儀ポータルサイトにも共通しています。どんな基準で紹介先が選ばれ、どんな基準で表示順が決まっているのか。外からは、ほとんど確かめようがありません。
上位に出てくる順位やおすすめは、必ずしも実際の質を映しているとは限らない。これはその一例にすぎません。飲食店であれば、次はもう少し慎重に選び直せます。でも葬儀には、その選び直しがきかないんです。何を基準に順位が決まっているのか分からないまま、人生で一度きりの選択をしていることになります。
そう考えると、ひとつ気づくことがあります。紹介サイトにとっての「良い紹介先」は、施主様にとって良い葬儀社と、同じとは限らないということです。たくさん手数料を払ってくれる提携先、つまり結果的に高額になっても構わない葬儀社のほうが、紹介サイトの側には都合がいいのかもしれません。
看板が変わっても、中身は分からない
葬儀業界では近年、会社の合併や買収がめずらしくありません。後継者不足や競争の激化を背景にした、ごく通常の業界再編ではあります。ただ、その結果として運営会社や式場の看板は入れ替わりやすくなります。過去の評判を調べても、それが今の運営元の実績とは限りません。この見分けは、利用者側にはほとんどつかないと思います。
天翔がポータルサイトに登録していない理由
理由はシンプルです。手数料が乗れば、その分は結局、施主様の負担に跳ね返ってしまいます。それに加えて、手数料が経営を圧迫する状態が続けば、事業そのものを健全な形で続けていくことが難しくなります。地域の皆様に長くお付き合いいただきたいからこそ、この仕組みには乗らない方がいい。そう考えています。
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参考:住職によるお布施手数料の証言(note)、国民生活センター公表資料、美容業界の予約サイト依存に関する各種業界コラム、飲食店評価サイトを巡る報道・裁判記事 等