兄弟構成と葬儀の進め方
2026/03/16
葬儀の相談をしていると、目の前のご家族の、「関係性」と「特色」が見えてきます。
テキパキと仕切る方、気づかれないように場を整える方、遠慮がちに黙っている方。それは性格というより、その家族の中で長年かけて育ってきた「役割」のようなものです。
お父さんを亡くしても、お母さんを亡くしても、兄弟姉妹はやっぱり、いつもの「その家族」に戻っていく。
今日は、家族葬の天翔 代表 大西が経験した四つの場面をご紹介します。
①「兄が仕切り、妹が裏で支える」
お父様を亡くされた、兄・弟・妹の三人兄妹。
打ち合わせはお兄さんが中心でした。家長としてテキパキと話を進め、弟さんも妹さんも、うなずきながら聞き役に回っています。
ただ、食事の人数や、お花の手配になったとき、お兄さんの言葉が少し止まりました。細かいところの配慮や手配が苦手なタイプのようでした。でも、弟や妹には「どう思う?」とは聞きません。「自分が決める」という空気が、その場を包んでいました。
打ち合わせが一段落して、お兄さんと話が終わったあと、妹さんが私のところに来られました。親族の人数を確認しながら、お食事の数やお花の手配もしっかり依頼してくれたのです。
「兄には内緒ね。こういうの苦手なのに私らにはよう相談できないんです」と、コソッと笑いながら。
おかげで、葬儀は無事に終わりました。
お兄さんも満足して帰られました。
②「遠慮しあった先に、後悔が残った」
お母様を亡くされた、兄弟二人。
打ち合わせの様子から、葬儀についてあまりご存知でないことは伝わっていました。でも、お兄様は弟さんの手前、担当者である私に「分からない」とは言えなかったようです。弟さんも、兄を差し置いて次々と質問することをためらっていました。
僧侶を呼ばず、お別れの時間もとらず、火葬だけすることなりました。お母さんが生前、私の葬儀はなにもしなくて良いよ、っと言い残していたからだそうです。
火葬の直前、お二人はお母様の棺の前で、声を上げて泣いておられました。自分でも想像できないような母への想いが溢れて来たようでした。
その姿を見ながら、私は思っていました。
「もう少し、ちゃんと説明できていたら。お別れの場所と時間を持つ大切さを分かってもらえていたら。。。」
お母様への想いはちゃんとあった。それなのに、兄弟の間にある「見栄」と「遠慮」のようなものが、二人の手を縛ってしまっていました。
③「女姉妹は、最強だった」
姉妹だけでお父様を送られたご家族。
打ち合わせが始まった瞬間から、にぎやかでした。
「お父さん、紫が好きやったから、お花はそれで!」「あ、でもあの人も来はるから、席の数もう一回数えて」「ここ分からへん、教えてもらえます?」
遠慮がないのです。分からないことはすぐ聞く。希望はどんどん言う。お互いの意見をぶつけて、またすぐ笑顔で折り合う。
担当者として、これほど「希望をカタチにしやすい」打ち合わせはありませんでした。
お父様の祭壇には、好みの紫のお花がたっぷりと飾られました。
④「弟が喪主、でも実権は姉にある」
お母様を亡くされた、姉と弟の二人きょうだい。
慣例で、喪主は弟さんが務めます。打ち合わせの席でも、名目上は弟さんが中心です。
ただ、実際に話が動くのはお姉様が口を開いたときでした。
「それ、要りますか?」「これはどういう意味ですか?」。質問は鋭く、判断は早い。弟さんは何かを決めようとするたび、ちらりとお姉様の顔を見ます。お姉様が小さくうなずくと、弟さんが「じゃあそれで」と言う。
不思議な連携でした。指示しているわけでも、口を挟んでいるわけでもない。でも、二人の間には長年かけて積み上げられた「序列」のようなものが、確かにありました。
葬儀は、きっちり整ったものになりました。余分なものは何もない。でも、必要なものは全部ある。
終わったあと、弟さんがぽつりと言いました。「姉ちゃんがいてくれてよかった」と。
お姉様は「当たり前やん、あんた頼んないから!」と笑っておられました。
最後に
兄弟姉妹の数だけ、葬儀の打ち合わせの形があります。
仕切る人がいて、裏で動く人がいて、遠慮する人がいて、黙ってうなずく人がいる。それがその家族の、いざというときの関係性なのだと思います。
どのご家族も、みなさん一生懸命です。それぞれのやり方で大切な人を送り出そうとしている。その姿を見ていると、こちらまで温かい気持ちになり、なんとかいいお葬式のお手伝いができるように想いを新たにします。
私たちは、そのご家族の「いつも」に寄り添いながら、言葉にならない希望もちゃんとカタチにできるよう、全力でお手伝いします。
どうぞ、安心してお任せください。

