加藤一二三さんの葬儀に学ぶ|カトリック葬の「前向き」な作法
2026/01/31
祈りと讃美歌に包まれる荘厳な儀式
「ひふみん」の愛称で親しまれた将棋界のレジェンド、加藤一二三(かとう・ひふみ)九段が、2026年1月22日に86歳で旅立たれました。カトリックの敬虔な信徒としても有名だった加藤さんの葬儀は、東京の「カトリック麹町 聖イグナチオ教会」にてキリスト教式(カトリック)で営まれました。
将棋ファンのみならず、可愛らしく品のあるキャラクターで多くの方に愛された「パウロ(加藤九段の洗礼名)」さんの旅立ちをきっかけに、少し珍しい「カトリックの葬儀」の世界を、読み物としてご紹介します。
将棋界のパウロさん、天国へ「王手」
カトリックの葬儀は、仏式に慣れた私たちからすると、驚きや「へぇ〜!」が詰まった独特の儀式です。加藤一二三さんの葬儀でも、その特徴が随所に見られました。
1. 戒名ではなく「洗礼名」
仏教では「戒名」をいただきますが、カトリックでは洗礼を受けた時の名前(洗礼名)で送られます。加藤九段は「パウロ」という素敵なお名前をお持ちでした。葬儀の間も、この名前で呼ばれ、神様のもとへと案内されます。
2. 「死」ではなく「神様のもとへ帰る」こと
カトリックの考え方では、死は決して終わりではありません。「神様からいただいた命を、感謝と共にお返しする(帰天)」という、とても前向きな捉え方をします。 加藤さんのあの明るいキャラクターも、こうした「死を恐れない信仰心」から生まれていたのかもしれませんね。
3. お焼香の代わりに「お花」を
仏式ではお香を焚きますが、キリスト教式では「献花(けんか)」といって、白いカーネーションなどのお花を一人ずつ手向けるのが一般的です。
面白いポイント: 日本のカトリック教会では、仏教の習慣を尊重して「お焼香」を行うこともあります。文化を大切にする日本らしい柔軟さです。
葬儀という名の「コンサート」?
カトリックの葬儀を経験した方が一番驚くのは、その「音楽」かもしれません。
聖歌の響き: お経の代わりに、会衆みんなで「讃美歌」を歌います。パイプオルガンの音色に包まれる空間は、まるで厳かなコンサートのようでもあります。
悲しみよりも「希望」: 音楽や祈りの内容は、故人が天国で安らぐことへの「希望」に満ちています。どんよりとした暗さよりも、どこか凛とした、清々しい空気が流れるのが特徴です。
神の住まう国に帰ることになるので、どこか喜ばしく、祈りと感謝に満ちたお別れの場になります。
富田林と「祈り」の共通点
富田林にも多くのお寺や神社があり、古くから「祈り」が生活に溶け込んでいます。宗教が違っても、根底にあるのは「大切な人の安らかな旅立ちを願う」という一点に尽きます。
加藤九段が最後まで「感動するような将棋を」と盤上に向き合われたように、私たち葬儀のプロも、ご遺族が「良いお別れだった」と心から納得できる場を整えることに、誠心誠意向き合いたい。そう改めて感じさせられる厳粛で美しいお葬式でした。

